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ニュースリリース|2011

2011年10月11日

べと病R-1~8抵抗性を備え、極濃緑で立性、耐湿性に優れる秋・春まき兼用品種
ホウレンソウのF1新品種『プログレス』の種子を発売
 品質のよさとつくりやすさを両立した次世代のホウレンソウ

サカタのタネは、べと病※1 R(レース)-1~8※2抵抗性※3を備え、極濃緑色で耐湿性に優れる秋・春まき兼用ホウレンソウのF1新品種『プログレス』の種子を、2011年10月20日に発売します。近年、気候変動により集中豪雨が増えるなど、より耐湿性のある品種の登場が切望されていました。『プログレス』は、湿害による黄化が出にくいため耕作地を選ばずに栽培できます。草姿は立性※4で葉の絡みが少なく、茎はよくしなり、従来の当社秋・春まき品種と比べ葉枚数が多いため、作業性と収量性にも優れます。『プログレス』のタネまき時期は当社従来品種の端境期にあたるため、同品種の使用により当社品種のみでもホウレンソウの長期安定供給ができます。なお、同品種は、第61回全日本野菜品種審査会※5で1等・特別賞と生産局長賞※6を受賞しています。『プログレス』は、プライマックスⓇ※7種子30,000粒入り袋4,410円(税込み希望小売価格)で、全国の種苗店・JAルートを通じて販売します。当社では同品種をホウレンソウの次世代品種として拡販していき、3年後は年間1億円の売上をめざします。

 

写真はホウレンソウのF1新品種『プログレス』の青果物


現在ホウレンソウは一年中栽培されていますが、もともと冷涼な気候を好むため秋まき栽培が最も適しています。またホウレンソウは、栽培期間が短いことなどから水田の裏作にも使われます。しかし、水田は土壌の粘性が高く排水性がわるいため、ホウレンソウ栽培では湿害による黄化などの問題が常につきまといます。また、近年、気候の変動により秋雨前線が台風の影響を受けるなどして活発化し、秋のタネまき時期に集中豪雨に見舞われるケースが増えていることからも、耕作地を選ばずに栽培できる耐湿性のより高い新品種の登場が切望されていました。

ホウレンソウのF1新品種『プログレス』は、「葉色の濃さなど消費者に好まれる品質のよさをもちながら、作業性、収量性が高く、耐湿性にも優れる画期的な秋・春まき兼用品種の創出」を育種目標に掲げ、10年以上の歳月をかけて開発したものです。

特に力を注いだのが耐湿性の向上です。当社試験圃場はもちろん、水田の裏作でホウレンソウ栽培が盛んな徳島県の産地でも試作を行い、火山灰土から水田の裏作まで土質を選ばず栽培できる品種をめざして試行錯誤を重ねてきました。その結果、試作をお願いした生産者からは「従来品種と比べ湿害による黄化が起きにくい」という評価をいただいています。また、草姿は立性のため葉の絡みが少なく、茎は丈夫でよくしなることから作業性が高く、従来の当社秋・春まき兼用品種と比べ葉枚数が多いため収量性にも優れています。さらに、秋まきでは、収穫期に近づいても比較的緩やかに成長するので在圃性があり、余裕をもって収穫作業ができます。また、葉は光沢のある極濃緑色で、葉先はややとがり、葉縁は浅く欠刻(切れ込み)が入る剣葉で、商品価値も高い品種です。

『プログレス』のタネまきの最適期は、秋まきの場合、寒冷地が9月上旬から中旬、温暖地・暖地が9月中旬から10月中旬です。春まきの場合は、寒冷地では3月上旬から中旬、温暖地・暖地が2月上旬から3月中旬です。従来は、温暖地の場合、9月いっぱいまでは高温期に発生しやすい萎凋病※8に強度の耐病性をもつ夏まき品種の「ミラージュ」を、10月中旬からは低温伸張性に優れる秋まき品種の「クロノス」を栽培するケースが多く見られます。『プログレス』は、温暖地で9月中旬から10月中旬までタネまきできるため、「ミラージュ」と「クロノス」の間でタネまきできることから、当社品種のみでも長期にわたる高品質なホウレンソウの安定供給ができます。

 
当社秋まきホウレンソウのタネまき最適期

なお、『プログレス』は、2010年11月に開催された第61回(平成22年度)全日本野菜品種審査会ホウレンソウ(ハウス・秋どり)の部において、光沢のある濃緑の葉色と立性の草姿、それに収穫物のそろいのよさなどから総合的に高く評価され、出品された22点中トップの1等・特別賞に輝いています。さらに、2011年5月に行われた同審査会の授賞式にて、生産局長賞を受賞しています。

品種名の『プログレス』には、日本語で「進歩」「発展」などの意味があります。その名のとおり、品質がよく、栽培しやすい同品種は、次世代を担うにふさわしい画期的なホウレンソウです。『プログレス』を当社の主力品種として精力的に拡販していき、3年後には年間1億円の売上をめざします。

今後、温暖化など環境変化によってさまざまな農作物の栽培が難しさを増すなか、当社では長年蓄積してきた膨大な植物遺伝資源、育種研究開発力を最大限に活用し、これからも産地のニーズに対応した品種を開発し、青果物の安定的な供給に寄与していきます。


※1 べと病:
糸状菌(カビ)の一種のべと病菌(Peronospora farinose)により葉に灰緑色~黄色の境界不明瞭な病斑ができ、これが葉全体に広がり淡黄色となり葉裏面に灰紫色のカビが生える植物病害。特にホウレンソウの春および秋まき栽培で被害が大きい。これは、べと病菌が平均気温15℃前後で曇天や雨が続くと発生しやすいことによる。罹病株は、多湿時期にべとついた感じになることから「べと」と呼ばれるようになった。

※2 R(レース):
病原菌の系統のこと。品種育成によりつくられた病害抵抗性品種に罹病(感染)する病原菌ができるたびにR(レース)数は増える。ホウレンソウのべと病は、国内ではR-1、3~8までが確認されている。

※3 抵抗性・耐病性:
当社では、発病条件(温度、湿度、病原体の密度など)の影響を受けにくい安定したものを「抵抗性」と呼び、影響を受けやすいがその程度が軽く、収穫するうえではほとんど問題にならない性質を「耐病性」と呼んでいる。「抵抗性」としているものでも、条件やレ-ス分化などにより発病する恐れがある。

※4 立 性:
立性の品種は、隣の株と葉が絡まないことから収穫しやすく、また、集荷の際に袋詰めしやすいなど作業性が優れる。

※5 全日本野菜品種審査会:
社団法人日本種苗協会が主催し、国内の野菜産地の維持と発展に寄与するため、販売中あるいは育成途中の品種を供試し、
実地栽培による比較審査を行い、優良品種の選定を行うもの。

※6 生産局長賞:
全日本野菜品種審査会において1等・特別賞を受賞した品種のなかから、農林水産大臣賞と生産局長賞が選定される。第61回(平成22年度)は、1等・特別賞を受賞した11点のなかから4点が農林水産大臣賞、7点が生産局長賞を受賞した。

※7 プライマックス
発芽をよくするために種子に施す特殊処理。

※8 萎凋病:
糸状菌(カビ)の一種のフザリウム菌(Fusarium oxysporum)がホウレンソウの根から侵入し、導管部を侵すため根からの水分の上昇が不足し、下葉が黄化し、地上部がしおれて枯死する植物病害。土壌伝染性で土壌中に厚膜胞子が残って感染・発病を繰り返す。やや温度の高い条件下で発生が多い。

■ホウレンソウのF1新品種『プログレス』の概要

◆特 長
①べと病R(レース)-1~8に抵抗性をもつ。
②当社従来品種と比べて耐湿性が強く、湿害による黄化が出にくい。
③極濃緑、光沢のある剣葉で、葉先がややとがり、葉縁は浅く欠刻(切り込み)が入る。
④葉の枚数が多いため収量性が高い。
⑤草姿は立性で葉の絡みが少なく作業性に優れる。
⑥秋まきでは従来品種より比較的成長が遅く、在圃性に優れる。
⑦タネまき時期は当社従来品種の端境期にあたるため、同品種の使用により当社品種のみでもホウレンソウの長期安定供給ができる。

◆栽培の適応性

秋まき品種としては比較的緩やかに生育するので、寒冷地の9月上旬~中旬まき、および温暖地・暖地の9月中旬~10月中旬、2~3月中旬まきに適する。土壌適応性が広く耐湿性が強いため、火山灰土から水田裏作まで幅広く栽培することができる。

◆栽培のポイント

①土づくりと施肥 
完熟堆肥の施用と深耕は、ホウレンソウづくりの基本。特にハウス栽培の場合は年5~7回タネまきすることになるので、有機質肥料、完熟堆肥を投入し、地力の低下を防ぐ。直根性の作物なので、根がスムーズに伸びる土づくりを心がける。
また、近年葉菜類の硝酸態窒素が問題視されているので、肥料の施用量は適量を守ること。同品種は特性上、多量に窒素を施さなくても十分に葉色が濃くなる。

②タネまき
条間15~20cm、株間3~5cmのスジまきとする。水田の裏作や排水不良の畑では、排水を確保するため高畝にする。収穫・調整作業が最も労力を要するので、収穫時に無理のないタネまき時期と栽培面積を心がける。

③病害虫防除
シロオビノメイガ、ハスモンヨトウ、ケナガコナダニなどが問題になる。特にケナガコナダニは被害に気づいてからでは手遅れなので、初期防除を徹底すること。
※ホウレンソウのべと病はレースの分化が進み、近年ではその分化も早まってきている。新レース発生を予兆することはきわめて困難であるため、抵抗性品種であっても適期の防除を心がける。

④収穫
適期収穫を心がける。特に春どりは秋冬どりに比べて収穫適期が短くなるので、とり遅れのないように収穫する。

◆種子価格(税込み希望小売価格)

プライマックス種子30,000粒入り袋  4,410円

◆種子発売時期

2011年10月20日から全国の種苗店・JAを通じて販売

◆販売目標金額

初年度1,300万円(2011年10月~2012年9月の1年間)、3年後は1億円(2013年6月~2014
年5月)

◆作型図 


 

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