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ニュースリリース|2012

2012年04月16日

おいしさを追求したミニトマトの次世代品種
ミニトマトのF1新品種『キャロルパッション』の種子を発売
現在の丸玉系ミニトマトにはない、斑点病※1に抵抗性※2をもつ

サカタのタネは、食味のよいミニトマトのF1新品種『キャロルパッション』の種子を、2012年6月中旬に発売します。『キャロルパッション』は、酸味と甘みのバランスがよく、果皮は薄く果肉が厚いため食味に大変優れます。特に糖度は高く、果色は濃い赤色で、色まわりがよく、テリがあります。球重は、ミニトマトの標準の重さと同等の約16gです。『キャロルパッション』は、近年丸玉系ミニトマトの栽培で全国的に深刻な被害を及ぼしている斑点病において、既存品種にはない抵抗性をもちます。さらにヘタ(果柄)が丈夫でとれにくく、裂果※3しにくいなど、流通性の高い高品質な青果が収穫できます。『キャロルパッション』は、種子1袋(約1,000粒入り)19,530円(税込み希望小売価格)で、全国の種苗店・JAルートを通じて販売します。当社は同品種をミニトマトの次世代主力品種として、また「100周年記念品種」として位置づけており、積極的に拡販していきます。初年度販売目標金額は、2,000万円です。

 
写真はミニトマトのF1新品種『キャロルパッション』の青果

ミニトマトは、1980年代前半から年々出荷量が増加し、現在では大玉トマトと区別され、一つの品目のとして定着しています。農林水産省「野菜生産出荷統計」によると、ミニトマトの全国の作付面積は1990年に1,140haだったのに対し、2010年には約2倍の2,000haにもなっています。また、当社の売上実績をみても、2011年度は2002年度と比べて約1.7倍もの伸びを示しています。これは、お弁当の付け合わせや、外食産業でサラダをはじめとする総菜などの具材として、順調に消費が伸びたことによります。ミニトマトの需要が高まる一方で、市場からは「最近のミニトマトは色鮮やかで裂果しにくいため見栄えはよいが、味にメリハリがない」との指摘もあります。

新品種『キャロルパッション』は、食味の向上に重点をおき、約6年の歳月をかけて開発した品種です。同品種は、酸味と甘みのバランスがよく、コクとうまみがあり、メリハリの効いた「パッション」を感じる味に仕上げました。もちろん果色の鮮やかさや裂果のしにくさはそのままに、果皮がやわらかいうえに果肉が厚いため、口に皮が残りにくく、食感のよいミニトマトです。球重は、ミニトマトの標準の重さと同等の約16gです。ミニトマトの食味を大きく左右する糖度の分析を行ったところ、『キャロルパッション』は従来品種(6~7度ほど)と比較して常に高い数値(7~8度ほど)を示しています(表1、2)。市場で行った同品種の試食会では「従来品種と比べて甘くておいしい」などといった極めて高い評価をいただいています。 

当社北海道研究農場での試作による収量特性
表1 播種 2011年2月23日 定植 4月8日 評価 6月10日~9月9日

品種名 上物個数 上物重量(g) 裂果率
(%)
平均重
(g)
糖 度
キャロルパッション 1,140  19,923  0.0 17.5 8.1
従来品種 1,122   21,915  0.4  19.5  6.8

表2 播種 2011年3月25日 定植 5月7日 評価 7月5日~9月28日
 

品種名 上物個数 上物重量(g) 裂果率
(%)
平均重
(g) 
糖 度
キャロルパッション 1,333  21,724  0.0 16.3 7.7
従来品種 987 19,406  0.2 19.7  7.0

『キャロルパッション』は、葉かび病※4、萎凋病※5(フザリウム:R-1)、ToMV※6(トマトモザイクウイルス)、斑点病に抵抗性、ネマトーダ(ネコブセンチュウ)に耐虫性、さらに根腐萎凋病※7に耐病性があります。特に、斑点病に抵抗性をもつことは生産するうえでの大きなメリットとなっています。「アイコ」のようなプラム形の品種を除き、もともとミニトマトは大玉トマトと比べて斑点病に弱い性質がありました。そのような状況のなか、2003年の農薬取締法の改正によってミニトマトに使用できる農薬が減り、これまで以上に斑点病の防除が難しくなりました。現在では夏秋栽培※8の産地である東北地方をはじめとして、全国的に斑点病の被害が深刻化しています。このような現状から『キャロルパッション』は、斑点病の被害を受けていた産地に朗報をもたらす品種です。上述のように各種の病気や虫に強いだけではなく、生育後期まで草勢が衰えないため収量が落ちにくく、また花数は1果房あたり30花程度とつきすぎないので摘花の必要がなく、さらに異常茎※9の発生が少ないため栽培しやすい品種です。

なお品種名の『キャロルパッション』は、当社の丸玉のミニトマトに冠する「キャロル」と、創業100周年の当社グループスローガン「PASSION in Seed」から、メリハリのある味と果色の鮮やかな赤をイメージさせる「パッション(情熱)」を組み合わせて命名したものです。当社ではこの品種を「100周年記念品種」として位置づけ、積極的に拡販してまいります。

■ミニトマトのF1新品種『キャロルパッション』の概要

◆特 長

①葉かび病、萎凋病(フザリウム:R-1)、ToMV(Tm-2型)、斑点病に抵抗性、ネマトーダ(N)に耐虫性、根腐萎凋病にも耐病性をもつ。
②生育後期まで収量が落ちず、花数は1果房あたり30花程度とつきすぎないので摘花の必要がなく、異常茎の発生が少ないため栽培しやすい。
③果皮が薄く、果肉が厚い。高糖度で肉質がよく、食味がとてもよい。果実は鮮やかな赤色で、テリがある。果重は約16g。

◆栽培の適応性

夏秋、促成栽培※10に最も適し、抑制栽培も可能。

◆栽培のポイント

①育苗管理
播種床の地温は25~28℃とし、播種後14日ぐらいの本葉1.5枚時に移植を行う。葉と葉が接触するころに苗広げを行い、育苗面積を十分にとる。肥料不足のときは液肥などで追肥を行う。ミニトマトで問題となる、異型株の発生は少ない品種である。

②定植準備
作付け前に圃場の土壌診断を行い、適正な肥料設計を立てる。元肥量は圃場により異なるが、10aあたり成分量で窒素15~20㎏、リン酸20~25㎏、カリ15~20㎏を標準とする。

③定植・栽培管理
定植は第1花開花前~開花ごろを基本とする。灌水は、第1段着果~果実肥大期ごろを目安に行い、初期からスムーズに生育させる。追肥は第3花房開花ごろを目安に草勢を見て行う。

④病害虫防除
青枯病※11の汚染圃場では、当社の台木トマト「サポート」「レシーブ」などを用い、褐色根腐病※12と青枯病の汚染圃場では「マグネット」「ブロック」「フレンドシップ」などを用いて接木栽培を行う。
また、近年問題となっている黄化葉巻病※13、葉かび病の新レースやうどんこ病※14、すすかび病※15に対する抵抗性はないので、防除を徹底する。
           
◆栽培上の注意点

①草勢は初期がやや強め、中~後半はややおとなしい。早めの灌水、追肥による樹勢の維持がポイント。
②越冬長段栽培では草勢の維持が難しいため、草勢によっては作型の中盤で摘芯を行い、樹を休ませるようにする。
③節間はやや伸びるので、長段栽培では斜め誘引を行う。
④温度管理は最低夜温10~11℃で管理し、マルハナバチを使用する場合12℃程度を確保するようにする。従来の品種と比較して厳寒期の花粉の稔性が劣る。低温管理の場合はホルモン処理を行う。
⑤果肉が厚く、裂果に強いので、通常は赤熟収穫を心がける。しかし温度低下期に降雨があると裂果しやすくなる。降雨日の翌日に裂果の発生が多くなるので、なるべく降雨日に収穫を済ませるようにする。
⑥抑制栽培では若干花数が増えるが、他の作型では花数が安定しているので、摘花は必要ない。低段の花数を確保するため、若干若苗定植にする。
⑦ヘタ(果柄)が大きく灰色かび病※16に対してやや弱いので、適宜予防薬を散布し防除に努める。
⑧高温期の窒素過多により、色まわりの不良果や芯腐れ果が発生することがあるので、抑制栽培の元肥は極力少なめとし、追肥も1回の窒素成分を控えるようにする。

※1 斑点病:
糸状菌による病害。主として葉に発生する。病斑ははじめ緑褐色の小斑点で、その後拡大して2~3mmの淡褐色~暗褐色の円形となる。病斑の周囲は黄変し、病気が進むと病斑の中心部に穴があく。多湿条件下で発生し、窒素過多や肥切れするようなときに発病しやすい。

※2 抵抗性・耐病性:
当社では、発病条件(温度、湿度、病原体の密度など)の影響を受けにくい安定したものを「抵抗性」と呼び、影響を受けやすいが、発病の程度が軽く、栽培するうえでは問題になりにくい性質を「耐病性」と呼んでいる。「抵抗性」としているものでも、条件やレ-ス分化などにより発病するおそれがある。

※3 裂果:
収穫期近くになり、果実表面が果実内部の膨圧に耐えきれず、はじき割れることを指す。裂果には3種類あり、果梗(かこう)部を中心に同心円状に果実が裂ける同心円裂果、果梗部から放射状に裂ける放射状裂果および果実側面が裂ける側面裂果がある。

※4 葉かび病:
糸状菌による病害。葉だけに発生する。はじめ葉の表側にボンヤリとしたやや黄色みがかった病斑が発生し、やがて葉の裏側に灰白色のカビが発生し、後期には灰褐色に変色する。ひどいと葉の表側にもカビが生じ、葉枯れを起こす。多湿条件化で発生し、着果不良や果実の肥大不良の原因となる。

※5 萎凋病:
土壌病害で病原菌(糸状菌)は根から侵入して導管内で増殖・伸展する。はじめ葉が萎凋、黄化してついには株全体がしおれて枯死する。本病原菌には3つのレースが存在する。

※6 ToMV(トマトモザイクウイルス):
主として葉にモザイク症状が現れ、ときに葉の先が細くなることもある。また、茎葉や果実に激しいえそが生じる場合もある。接触伝染や土壌伝染するため、はさみや手袋などの消毒や土壌消毒を行う。

※7 根腐萎凋病:
土壌病害で病原菌(糸状菌)が根に寄生し根腐れを起こす。導管内に侵入して導管の褐変を起こすこともある。発病は地温が15℃~20℃のときに激しく、晩秋から春にかけて発生する。慢性的にしおれ、下葉から黄化してやがて枯死する。

※8 夏秋栽培:
夏から秋にかけて収穫されるトマトの作型を夏秋栽培という。夏秋期に出荷されるトマトは、全国各地で栽培され ており、特に北海道、青森、福島、群馬、岐阜県などで栽培が多い。作型は、2月中旬~5月にタネまきし、7~10月に収穫する栽培が中心である。

※9  異常茎:
一般に「めがね茎」とか「窓あき茎」と呼ばれるものを指し、茎の異常肥大や葉の過繁茂を伴うものである。このような症状になるのは、成長点近くのずい部柔細胞が壊死(えし)し、その部分が他の組織の成長に応じきれずに裂け目となって残ったり、窓あき状になったりするためであり、重症になると主茎の先端が壊死する。異常茎になると花器の発育がわるくなり、落花や果実の肥大不良が増加するなど収量や品質に与える影響も大きい。

※10 促成栽培:
主に7月下旬から9月上旬にかけてタネまきし、収穫は、短期栽培では10月から3月、長期栽培の場合は10月から7月までの作型である。

※11 青枯病:
土壌病害で病原菌(細菌)が根の傷口から感染、侵入して発病する。一般に気温が20℃くらいから発病し始め、日中、地上部全体が青いまましおれ、やがて枯死する。トマトのほかナス、ピーマン、ジャガイモなどのナス科植物に大きな被害をもたらす。

※12 褐色根腐病:
おもに促成栽培などの低温期に発生する土壌病害で、病原菌(糸状菌)が根に感染して発生する。感染した根は褐色に変色して表面がざらざらにコルク化する。土壌中からの水分の吸収ができなくなるため、日中晴れると茎葉がしおれる。感染した植物体は枝葉が黄化して、枯死する場合もある。

※13 黄化葉巻病 :
トマト黄化葉巻ウイルス(Tomato yellow leaf curl virus)による病害のこと。地中海沿岸諸国、アフリカ、オーストラリア、アジア、中米、北米など世界各地で発生している。本ウイルスは媒介虫であるタバココナジラミ類によって媒介、感染する。現在、日本国内で発生しているTYLCVは、比較的病徴の発現が穏やかなマイルド型とも呼ばれるTYLCVマイルド系統と、激症型とも呼ばれるTYLCVイスラエル系統が確認されている。いずれも病徴は、主に成長点付近で顕著で、発病初期には新葉の縁から葉色が薄くなり、葉が上向きに巻き、その後、葉脈と葉脈の間が黄色-白色になり葉が縮む。さらに病状進行すると、成長点周辺が叢生(そうせい)して株全体が委縮する。このように株全体の成長が著しく阻害されるため、収量は大幅に減少する。

※14 うどんこ病 :
糸状菌、子のう菌類の一種の病原菌によりおもに葉に発病する。ふつう下葉から発生し、葉の表面に小麦粉をふりかけたような白いカビを生じる。これは後に灰白色となり、そのなかに黒色の小粒(子のう殻)が形成される。発病のひどいときは葉が枯れ上がり、減収する。 

※15 すすかび病 :
本病の病徴は葉かび病に類似しており、肉眼観察による判別は難しい。多湿条件の施設栽培で発生しやすい。はじめ葉裏に不明瞭な淡黄緑色の病斑を形成し、やがて病斑上に灰褐色粉状のカビを生じる。病斑は次第に円形または葉脈に囲まれた不整形に拡大し、灰褐色から黒褐色に変わる。葉の表には不明瞭な淡黄褐色の病斑が生じ、その上にもかびを生じる。病勢が進展すると葉全体がかびで覆われ枯れ上がる。

※16 灰色かび病:
高温・多湿で発生しやすくなる。外葉に水浸状の淡褐色の病斑が生じ、急速に拡大し、褐変、腐敗し、そこに灰褐色のカビが生える。対策としては、被害葉は切りとり持ち出し処分する。ポリマルチをして地際部の過湿を避ける。

◆種子価格(税込み希望小売価格)

種子1袋 1,000粒入り 19,530円
※趣味園芸向け種子、苗の販売は未定

◆種子発売時期

2012年6月中旬から全国の種苗店・JAを通じて販売

◆販売目標金額

初年度2,000万円(2012年6月~2013年5月の1年間)

◆作型図

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