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ニュースリリース|2013

2013年07月10日

近年多発するゲリラ豪雨、台風などの夏の厳しい栽培環境にも適応性が広い
青首ダイコンの新品種『夏の守(なつのかみ)』が農林水産大臣賞※1を受賞
当社ダイコンでは「献夏37号」以来18年ぶりの快挙

サカタのタネが開発した、夏まき秋どりの青首ダイコンのF1新品種『夏の守』が、2013年6月20日に行われた「第63回全日本野菜品種審査会※1」授賞式で農林水産大臣賞を受賞しました。『夏の守』は、丈夫でコンパクトにまとまる草姿により、強い雨や風に当たっても葉が傷みにくいため、葉に発生する病気にかかりづらく、根部が順調に生育します。萎黄病※2に耐病性があるほか、黒斑細菌病※3、炭そ病※4、黒斑病※5、べと病※6、モザイク病※7などの病気、赤芯症※8や黒芯症※8といった生理障害、過湿による横縞症※9にも比較的強いとの評価をいただいています。根長は35cm前後で、肌にテリがあり、尻部の肉づきがよく、曲がりの発生も少ない高品質な青果を出荷できます。肉質は緻密で、辛みや苦味や出にくく、大変食味のよい品種です。同品種の種子は、2013年12月から種苗店、JAを通じて生産者向けに本格販売する予定です。税込希望小売価格は、20mℓ入り1,144円、2㎗入り11,025円、ペレット5,000粒入り8,715円です。同品種が農林水産大臣賞を受賞したことで、当社は3年後に年間5,000万円の売上を目指して積極的に拡販していきます。


写真は、青首ダイコン『夏の守』の青果物

ダイコンは、年間を通して生産、出荷されています。8、9月が生育期間にあたる夏まき秋どりは、気温が高く、台風や、近年ではゲリラ豪雨や残暑といった異常気象もあり、一年のなかで最も栽培が難しいとされる作型です。一般にこの作型のダイコンは、風雨で葉が折れたり傷むことで必要な光合成量が維持できなくなり、降雨後の高温と過湿により、病原菌などが侵入することで、根部の生育にもダメージを与え、品質が著しく低下してしまいます。さらに秋どり栽培は、高温や乾燥などの影響で生理障害が発生しやすく、歩留まりが最も低い時期です。それに加え、この時期のダイコンは、品種によって肉質が硬く、辛みや苦味が出やすいといった課題もありました。

このような状況において、夏の厳しい環境条件下でも栽培でき、肌にツヤがあり、そろいがよく、曲がりが少ない高品質な青果を安定して収穫できる、新たな秋どりダイコン品種の登場が切望されていました。当社が15年以上の歳月をかけて育成した『夏の守』は、曲がりが極めて少なく、濃緑色の小葉で、草姿は立性※10と開帳性※10の中間くらいで、厳しい気象条件でも葉折れが少ないため(図1)、傷部分から侵入する病気が進行しにくく根部が順調に生育します。萎黄病に耐病性があり、そのほか黒斑細菌病、炭そ病、黒斑病、べと病、モザイク病などの病気や、赤芯症、黒芯症、根形不良といった生理障害、過湿による横縞症(図2)にも比較的強いとの評価が試作先の産地からあがっています。肉質は緻密で、辛みや苦味が少ないので、大変食味のよい品種です。

 
図1 左:『夏の守』 右:他社従来品種(2011年9月26日、山口県)

 
図2 左:他社従来品種 右:『夏の守』(2011年9月9日、熊本県)

近年夕立が多いことで知られる、群馬県北東部の産地で行った試作では、連日見舞われる豪雨と、天候回復後の急激な気温上昇という栽培環境でも、『夏の守』は生理障害や病害の発生が少なく、形状のよい高品質な青果が高い秀品率で収穫できました。富山県東部での試作では、台風や豪雨などの異常気象がない状態でも、従来品種は下葉が黄色く、外葉は垂れていますが、『夏の守』は葉の色が濃く、垂れずにしっかりとした草姿となりました(図3)。このほか、北海道、青森県、石川県、山口県、熊本県などでも試作していただきました。一般的に歩留まりが低い時期にもかかわらず、同品種は90%を超える秀品率で収穫できた産地もあり、その耐候性が高く評価されています。

 
図3 左:他社従来品種 右:『夏の守』(2012年10月5日、富山県)

2012年10月4日に石川県農林総合研究センター農業試験場砂丘地農業研究センターで行われた第63回全日本野菜品種審査会のダイコン(夏まき秋どり)の部において、『夏の守』は、立毛(圃場での生育中の地上部の状態)や収穫物のそろい、外観が極めて優れているほかに、高温期における栽培が難しい作型においても内部生理障害が見られず、横縞症に強いことが評価され、30点中トップの成績となり、1等・特別賞を獲得しました。さらに、昨年行われた10回の同審査会で1等・特別賞を受賞した品種のなかでも、特に優秀な成績を収めたことから、今年6月20日に一般社団法人 日本種苗協会から発表された「農林水産大臣賞」にも選ばれています。なお、当社ダイコンが農林水産大臣賞を受賞したのは1994年の「献夏37号」以来、18年ぶりの快挙です。

『夏の守』の栽培上のポイントは、元肥は控えめにすることです。多肥で急激に肥大すると、根部に肩割れが発生し、そこから軟腐病※11が発生しやすくなります。窒素成分は栽培地標準の8割程度でよいので、肥料を減らすことができ、栽培コストの軽減にもつながります。また、極端な早まきや遅まきはせず、寒地・寒冷地(北海道基準)では7月上旬から下旬、温暖地(千葉県基準)では8月中旬から9月初旬、暖地(鹿児島県基準)では8月下旬から9月中旬の播種に向きます。なお『夏の守』は、晩抽性※12に優れるため、夏まき秋どり栽培のほか、ダイコンが品薄傾向になる春まき夏どりにも適応できる品種としても期待されており、今後、産地試作などを重ねてその適応性について検証していきます。

夏まき秋どりダイコンは、国内の作地面積が6,840ha、出荷量は22万4,600t※13の大変大きな市場です。上述の「献夏37号」は、発表当時、耐暑性と品質のよさを両立する画期的品種として高い評価をいただいてきました。当社は、農林水産大臣賞に輝いた『夏の守』を、夏まき秋どりのダイコンの新世代の定番品種として確立すべく積極的に拡販し、夏まき秋どりダイコンのシェア奪還を目指します。

なお、同品種の種子の本格販売は2013年12月からを予定しております。

※1 農林水産大臣賞、全日本野菜品種審査会:
全日本野菜品種審査会は、一般社団法人日本種苗協会が主催し、国内の野菜産地の維持と発展に寄与するため、販売中あるいは育成途中の品種を供試し、実地栽培による比較審査を行い、優良品種の選定を行うもの。農林水産大臣賞とは、本審査会での1等・特別賞受賞品種の中から、特に優秀な品種にのみ贈られる賞。第63回全日本野菜品種審査会(2012年1~12月実施分)では10点が1等・特別賞を受賞し、そのうち4点が農林水産大臣賞に選ばれた。

※2 萎黄病:
下葉から黄化し、生育が劣って株が小さくなり枯れる病害。根を切るとリング状に褐変し、内部に放射状の変色部が見られる。病原菌は土壌中に残り伝染。連作すると多発しやすく、気温の高い時期によく発病する。

※3 黒斑細菌病:
葉に黒褐色斑点や条斑が生じる病害。ダイコンでは時に根頭部の表皮や内部組織が黒変する。ダイコンをはじめとして多くのアブラナ科作物を犯す。肥切れや排水不良によって本菌の発病が助長されるため注意が必要である。

※4 炭そ病:

葉に輪郭の明瞭な小褐斑が生じる病害。湿度が高い状態が続くと病斑上に胞子が形成され、それが風雨により拡散するので、降雨が本病害の発生に大きく影響する。

※5 黒斑病:
葉に木の年輪のような同心円状の輪紋を持った褐斑が生じる病害。ただし病気の進行度合いや病斑の大きさによっては輪紋が明瞭に観察できない場合もある。本菌は罹病植物の組織で菌糸や胞子の状態で生存する。また、病斑上に形成された胞子が風雨などで飛散し病気が蔓延する。

※6 べと病:
葉に灰白色~灰褐色の多角形で不整形の斑点が生じる病害。春先や晩秋といった気温の低い時期に多発する。本病害は葉裏に白い粉状の菌叢(胞子)を出すのが特徴である。

※7 モザイク病:
ウイルスにより発生する病気で、葉に緑色濃淡のモザイク模様を生じる。病徴の出方は、植物の生育段階・温度といった環境条件や品種によって異なり、ウイルスが感染していても病徴が明瞭に出ないこともある。症状が激しい場合、根が凸凹になったり肉質に影響を与えたりすることがあり、生育初期に感染すると株全体が生育不良に陥ることもある。

※8 赤芯症・黒芯症:
肥大した根の中心部全体が、赤芯症の場合は赤褐色、黒芯症では黒色に変色し、肉質が硬く、辛みや苦味が強くなるダイコンの生理障害。葉柄の基部に黒色斑点が生じる。ホウ素欠乏や、肥大期に地温が25℃以上になる日が続いたときなどに発生する。

※9 横縞症:
根部の表面に黒い筋が入る症状。過湿状態の土壌でリゾクトニア菌が寄生することにより生じるものと、高温・乾燥により生理障害として生じるものがある。

※10 立性(たちせい)・開帳性:
分枝や葉の着生角度が鈍角の形質を開帳性、鋭角のものを立性という。一般に立性の品種は、受光態勢がよく、より多くの葉に光を受けることができる。また、開帳性に比べて立性は、株幅を狭くできるため、単位面積当たりの株数を増やすことができる。これらのことから、立性の品種の育成は多くの作物で目標とされるが、夏ダイコンの場合は立性の性質が強すぎると風雨時には葉や茎が傷みやすい。

※11 軟腐病:
侵された組織は軟化・腐敗して独特の悪臭を発する。本病原菌は、アブラナ科、ウリ科、ユリ科、セリ科など各種の植物種を侵し、ダイコンでは地際部から根頭部での発生が多い。温度が高い時期に被害が大きくなる。本菌は昆虫などによる食痕や風などによる物理的な傷害、あるいは下葉の落葉痕などの傷口や気孔などの開口部から侵入する。一度侵入すると病気の進展が速いので、感染前に薬剤防除の対策を講じることが肝要。

※12 晩抽性(ばんちゅうせい):
ダイコンの場合、低温に遭遇しても花芽が形成されにくい性質のこと。

※13 出典:農林水産省、平成23年度「野菜生産出荷統計」

■ダイコンの新品種『夏の守』の概要  

◆特 徴 
①夏まき秋どりの青首ダイコン。
②根長は35cm前後、根径は約7.5cm。
③小葉で立性から開帳性の中間くらいのがっちりとしたコンパクトな草姿で、豪雨や風などでも葉が傷みにくい。
④中太りもなく尻部の肉付きがよい。そろいがよく、曲がりの発生が少ない肌のテリもきれいな高品質なダイコン。
⑤萎黄病に耐病性があり、黒斑細菌病、炭そ病、黒斑病、べと病、モザイク病などの各種病害や、黒芯症、赤芯症、根形不良といった生理障害、過湿による横縞症に比較的強いと試作産地から評価されている。
⑥肉質は緻密で、辛みや苦味が少なく、食味が大変よい。

◆栽培の適応性 
寒地・寒冷地(北海道基準)7月上旬~下旬まき、8月下旬~10月上旬どり、温暖地(千葉県基準)8月中旬~9月初旬まき、10月中旬~11月上旬どり、暖地(鹿児島県基準)8月下旬から9月中旬まき、10月中下旬~11月中下旬どりに適する。ただし、無理な早まきは生理障害、遅まきは短根の原因となるため、上記を参考に栽培地ごとに適期をよく見極める。

◆栽培のポイント
土作りと施肥
堆肥や緑肥などの施用による土壌の団粒構造化に努める。病害軽減のため、微生物肥料や良質な完熟堆肥を施用し、有効菌の増殖を促す。施肥は、元肥を控えめにし、草勢をおとなしめにつくる。窒素成分で栽培地基準の8割程度を目安とする。
播種
栽植密度は、地域や作型によって異なるが、畝間50cm×株間25cmくらいが適当。
生理障害・病害虫防除
夏まきの栽培で一番問題になるのは内部生理障害(黒芯症・赤芯症)。これはホウ素欠乏の症状で、本品種は比較的強いが条件によっては発症することがある。ホウ素は土壌中ではホウ酸の形で存在し、雨によって流亡しやすいので注意する。また、生育中期~後期の高温や土壌のアルカリ化が発症を助長させるので、マルチを使用するなどして地温を下げる対策をしっかり行うほか、ホウ素資材とともに過リン酸石灰を施用すると効果的という報告もある。その他病害虫については、必ず生育初期に予防的防除を行う。
収穫
夏まきの栽培は収穫が遅れると病害虫の被害を受ける危険性が高くなるので適期収穫を心がける。

◆種子価格(税込み希望小売価格)
20mℓ入り 1,144円  2㎗入り 11,025円  ペレット5,000粒入り 8,715円

※趣味園芸向け種子の販売は未定

◆種子発売時期(予定) 
2013年12月から全国の種苗店・JAを通じて本格販売

◆3年後の年間販売目標金額 
5,000万円

◆作型図 

 

■第63回全日本野菜品種審査会における『夏の守』の1等・特別賞、農林水産大臣賞の受賞ついて

<一般社団法人 日本種苗協会 審査経過報告より(原文)>

30点が出品され、10月4日に石川県農林総合研究センター農業試験場砂丘地農業研究センターにおいて審査された。8月7日播種の作型で栽培された。発芽率は90%以上と概ね良好であったが、一部で69%と低く、ほ場でも同様の傾向を示した。初期生育は8月の高温・干ばつの影響で緩慢となり、生育不良株も散見されたが、9月以降は適度な降水があり生育は回復し、根部肥大は平年並みとなった。生育初期に一部で軟腐病による欠株が見られたが、全体的に病害虫の発生は少なく推移した。

入賞は、1等・特別賞1点、2等1点、3等6点の計8点であった。1等・特別賞に選ばれた「サカタ交配 夏の守」((株)サカタのタネ)は、立毛や収穫物の揃い、外観が極めて優れている他に、高温期における難しい作型においても内部生理障害が見られず、横縞症に強いことが高く評価された。

石川県における秋作「早播き」作型は、県内ダイコン栽培面積90haの2~3割である。この作型では播種時期が高温で病害虫の発生が多いため、高温回避とアブラムシ類によるウイルス病等の発生を防除するため、一般には寒冷紗で25~30日間トンネル被覆を行なう。課題としては、高温期の栽培であるため、横縞症や亀裂褐変等の発生で外観が悪いこと、軟腐病等の発生、また高温年には内部褐変症の発生が挙げられる。横縞症や軟腐病に対しては農薬による防除、内部褐変症に対しては品種で対応しているが完全には対応できておらず、新たな優良品種の導入が求められている。

<審査結果>

出品番号 立毛 収穫物 合計 順位 等級 品種名 出品者
25 82.55 256.30 338.84 1 1等特 サカタ交配
SC9-149
(株)サカタのタネ

※立毛100点満点、収穫物300点満点 『夏の守』は両部門で最高得点を獲得

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