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ニュースリリース|2014

2014年02月25日

九州から関東の広範囲に深刻な被害をもたらしている黄化葉巻病の耐病性※1新品種
赤熟出荷向き大玉トマトのF1新品種『麗旬(れいしゅん)』の種子を開発
「黄化葉巻病耐病性」「食味」「収量性」の三拍子がそろった画期的な大玉トマト

サカタのタネは、黄化葉巻病の耐病性を備えた赤熟出荷向き大玉トマトのF1新品種『麗旬』の種子を開発しました。トマト黄化葉巻病は現在、九州から関東までのトマト産地で深刻な被害をもたらしている病害です。発病すると葉が葉巻症状になり、進行すると株全体が委縮し収量が激減します。この病害はタバココナジラミが病原ウイルスを媒介することにより感染しますが、防除には非常に手間がかかる上に、一度発生すると根絶が難しく、産地全体が壊滅的な被害に陥るケースもあります。近年、黄化葉巻病耐病性品種も導入され始めましたが、「非耐病性のトマトに比べ食味が著しく劣る」「収量性が低い」などの課題があり、抜本的な解決には至っていないのが現状です。今回発売する『麗旬』の最大の特長は「黄化葉巻病の耐病性」「優れた食味」「高い収量性」の三拍子がそろっている点です。いずれも生産現場、市場や流通関係者、消費者にとって重要な要素で、トマト産地の課題解決につながる画期的な品種です。果実は硬く赤く熟させてから収穫しても日持ちがよく、当社オリジナルの赤熟もぎり※2の統一青果ブランド名「王様トマト」として出荷できます。また黄化葉巻病耐病性のほか葉かび病※3抵抗性など複合的に耐病虫性を持ちます。『麗旬』は、2015年春の販売を予定し、種子の希望小売価格は、1,000粒入り袋35,000円(税抜)です。

※価格はすべて希望小売価格(税抜)です。価格の自主的な決定を拘束するものではありません。


 

写真は、大玉トマトのF1新品種『麗旬』の青果物

トマト黄化葉巻病は、タバココナジラミがトマト黄化葉巻ウイルス(Tomato yellow leaf curl virus 略称TYLCV)を媒介することによって発病します。現在、日本国内で発生しているトマト黄化葉巻病ウイルスは、比較的病徴の発現が穏やかなマイルド型と呼ばれるTYLCVマイルド系統と、その発現が激しいことから激症型と呼ばれるTYLCVイスラエル系統の2種類があり、現在は九州から関東にかけて両系統が混在しています。病徴は、いずれも主に成長点付近に現れ、葉が巻き、葉脈間が黄色くなります。進行すると成長点周辺が叢生※4して株全体が委縮し、生長が著しく阻害されるため、収量は大幅に減少します。国内では1996年以降、施設栽培トマトの生産地を中心に被害が拡大しています。媒介虫であるタバココナジラミのハウスへの侵入を防ぐために、入り口に目の細かいネットを張るなどの防除策が行われていますが、本虫が微小であり、繁殖力も旺盛のため、一度、地域に侵入すると根絶が非常に難しい病害です。施設内のトマトが全滅することもあるため、生産者の大きな減収要因となり、産地にとっても死活問題になっています。

同病害にみまわれている産地では黄化葉巻病耐病性品種が導入され始めていますが、「食感がざらざらする」「収量がとれない」などの課題が指摘されています。そのため産地としてのブランド戦略、市場における競争力の確保、トマトの消費維持と拡大などを総合的に考えた場合に安易に導入できないのが現状です。単に病気に強いというだけではなく、通常のトマトと「食味」「収量」「市場性」などトマトとしての本質的な部分で競争できる高い商品価値を持つ品種が求められていました。

『麗旬』はTYLCVマイルド系統とTYLCVイスラエル系統両方に対して耐病性を持ち、さらに「食味」「収量性」の三拍子がそろった画期的新品種です。食味は日本人の味の感性に合うようなトロっとした滑らかな舌ざわりで、甘みと酸味のバランスがよくコクがあります。高温期でも低段から着果が安定し、生育後半までスタミナが落ちにくいので収量性に優れます。奇形果、チャック果※5、窓あき果※6、空洞果※7、スジ腐れ果※8の発生が極めて少ないので秀品率が高く、従来の黄化葉巻病耐病性のトマトより比較的早生であることも特徴です。萎凋病(F:レース1、2抵抗性)※9、根腐萎凋病※10、ToMV(Tm-2a型抵抗性)、半身萎凋病※11、葉かび病、斑点病※12に抵抗性で、ネコブセンチュウ病※13に対する耐虫性など複合的に耐病虫性を持ちます。果実は220~230gの大玉で、豊円腰高で果色・色回りに優れ、テリがあります。硬くしっかりしているので裂果※14の発生が少なく、赤く熟させてから収穫しても日持ち性がよいので、当社オリジナルの赤熟もぎりの大玉品種の統一青果ブランド名「王様トマト」としても出荷できます。

『麗旬』の開発にあたり、日本一のトマト生産地であり、黄化葉巻病の被害が深刻な熊本県八代市などの産地で数年にわたり試作を行い、その適性を入念に確認しました。また食味については、市場や外食産業、食品加工業者など流通関係者を対象にした試食会や聞き取り調査を繰り返し実施するなど、実需者の評価を慎重に見極めながら開発を進めてきました。いずれも「黄化葉巻病耐病性品種とは思えないほど食味がよい」「トマトらしい味がする」などの声をいただいています。

栽培のポイントは、生育初期から着果性がよいので灌水を早めに行い、着果負担に応じて定期的に追肥を施し樹勢を維持することです。本品種に付与したトマト黄化葉巻病耐病性は病徴が発現にしくい保毒型耐病性※15であり、完全な抵抗性ではないのでコナジラミの防除は必要です。また、黄化葉巻病は病害の拡散防止のために地域全体での防除が欠かせません。同品種を導入してもネット張りなど従来の防除をしっかり行うことが必要です。またその他のウイルス病であるCMV※16、TSWV※17に対する耐病性は保有していないので、これらの媒介虫の防除も心掛けるとより安心です。

品種名の『麗旬』は、当社の赤熟出荷向きトマト品種である「麗容」や「麗夏」と共通の「麗」の冠に果実の見映えのよさが新鮮さをイメージさせることから「旬」という字を組み合わせました。

当社では、消費者にとって個性的で魅力のある高品質な品種の作出に取り組むと同時に、『麗旬』のように、経営環境の改善につながる育種にも積極的に挑戦し続けていきます。

■大玉トマトのF1新品種『麗旬』の概要

◆特 徴

① 萎凋病(F:レース-1、2抵抗性)、根腐萎凋病、ToMV(Tm-2a型抵抗性)、半身萎凋病、葉かび病、斑点病に抵抗性でネマトーダに耐虫性、TYLCV(トマト黄化葉巻病、耐病性因子Ty-3a保有)に耐病性の赤熟出荷向け大玉トマト。
② 草勢は中程度で、従来の黄化葉巻病耐病性品種と比べて早生。
③ 着果性に優れ、低段から果実の肥大力があり、生育後半までスタミナがあるので収量性が高い。
④ 果実は、果重220~230g程度、形は豊円腰高で果色・色回りに優れテリがあり、極硬玉で日持ち性がよい。裂果の発生が少なく、大玉品種の統一青果ブランド名「王様トマト」としても出荷可能。
⑤ チャック果、窓あき果、空洞果、スジ腐れ果の発生が少なく、秀品率が高い。
⑥ 食味は肉質がよく、コクがある。

◆作型図 
 

◆希望小売価格(税抜)

1,000粒入り袋 35,000円(税抜)

◆種子発売時期 

2015年春(予定)

※1 抵抗性・耐病性:
抵抗性とは真性抵抗性ともいい、病害自体におかされない性質をいい、耐病性は圃場抵抗性ともいい、おかされはするがその程度が軽いという性質をいう。

※2 赤熟もぎり:
トマトの5段階熟度表の4段階(10段階熟度表では8)以降の赤さを基準に、トマトを樹で赤く熟させてから収穫する方法。

※3 葉かび病:
糸状菌による病害。葉だけに発生する。はじめ葉の表側にボンヤリとしたやや黄色みがかった病斑が発生し、やがて葉の裏側に灰白色のかびが発生する。ひどいと葉の表側にもかびが生じ、葉枯れを起こす。多湿条化で発生し、着果不良や果実の肥大不良の原因となる。

※4 叢生(そうせい):
茎の伸長が抑制され、その部分に葉が密集して生えること。

※5 チャック果:
果実の表面にがく周辺部から果頂部にかけてコルク化した細いスジが入る果実。

※6 窓あき果:
果実の肥大に伴いコルク化したスジの部分が裂開して、トマトの果実が窓を開けたようにゼリー部が見えるようになった果実。

※7 空洞果:
果肉部がゼリー状物質で充満せずに果皮部と胎座部の間に空洞が生じた果実。

※8 スジ腐れ果:
果皮部の維管束が壊死(えし)し、黒変や褐変した果実。

※9 萎凋病:
土壌病害で病原菌(糸状菌)は根から侵入して導管内を伸展するので、はじめ葉が萎凋、黄化してついには株全体がしおれて枯死する。本病原菌には3つのレースが存在する。

※10 根腐萎凋病:
土壌病害で病原菌(糸状菌)が根に寄生し根腐れを起こす。導管内に侵入して導管の褐変を起こすこともある。発病は地温が15℃~20℃のときに激しく、晩秋から春にかけて発生する。慢性的にしおれ、下葉から黄化してやがて枯死する。

※11 半身萎凋病:
土壌病害で根の傷口から病原菌(糸状菌)が侵入する。はじめ下葉の一部の片側半分が黄化萎凋し、やがて株全体の半身がしおれて枯れ込む。定植一か月後ころから地上部に病徴が発現し始めて、以後収穫が終わるまで慢性的に発生し続ける。夏秋トマト栽培で発生しやすい。

※12 斑点病:
糸状菌による病害。主として葉に発生する。病斑ははじめ緑褐色の小斑点で、その後拡大して2~3mmの淡褐色~暗褐色の円形となる。病斑の周囲は黄変し、病気が進むと病斑の中心部に穴があく。多湿条件下で発生し、窒素過多や肥切れするようなときに発病しやすい。

※13 ネコブセンチュウ病:
数種ネコブセンチュウ類による土壌伝染性虫害。本虫害に侵されると根部が肥大しコブを形成するため、生育がわるくなり収量が低下する。

※14  裂果:
収穫期近くになり、果実表面が果実内部の膨圧に耐えきれず、はじき割れることである。裂果には、果梗(かこう)部を中心に同心円状に果実が裂ける同心円裂果、果梗部から放射状に裂ける放射状裂果および果実側面が裂ける側面裂果がある。

※15 保毒型耐病性:
ウイルスの感染を許すが植物体内におけるウイルスの増殖や移行を阻止する。ウイルス保毒虫の量や環境条件により病徴や被害が現れることがある。

※16 CMV :
キュウリモザイクウィルス(Cucumber Mosaic Virus)のこと。キュウリをはじめとする多くの作物が侵される。葉が緑色濃淡のモザイク症状や、細く奇形になる。果実が小さくなったり、デコボコになることもある。アブラムシが媒介するので、アブラムシを防除する。病株は抜きとり、持ち出し処分する。薬剤では防除できない。

※17 TSWV :
トマト黄化えそウィルス(Tomato Spotted Wilt Virus)のこと。アザミウマ類によって媒介される。ナス科、キク科、マメ科をはじめとする多くの作物がおかされる病害である。葉では退緑輪紋や褐色のえそ輪紋、えそ斑点を生じ、茎にはえそ条斑を生じる。植物によっては成長点が枯死したり、株が萎凋枯死する場合もある。また、果実にえそ斑点を生
じたり奇形果になる場合もある。
 

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