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一代交配

アスパラガス 「ウェルカムAT」

Bejo Zaden B.V. 育成

品目 アスパラガス
原産地 南欧からロシア南部
科・属名 ユリ科アスパラガス属

2年目から太くよくそろう全オス系アスパラガス

特性

・L、2Lサイズの割合が高く多収の全オス系品種。
・定植後2年目から高い上物率が期待できる。
・アントシアンの発生が少ない。
・草勢は比較的強いが、側枝発生が少なく茎葉が密集しにくいため管理しやすい。
・雌株が入らないため種子着果が極めて少なく、実生苗が雑草化する心配がほとんどない。

適応性

高冷地・冷涼地の露地春どり栽培に最も適する。冬場にハウス内で行う伏せ込み栽培でも能力を発揮する。

播種と育苗

播種量は定植予定本数の10~20%程度多めにします。200穴セルトレーを用いる場合は茎葉が株あたり2本以上になった時点で9cm以上のポリ・ポットに鉢上げします。128穴トレーを用いる場合ハウス内へはそのまま定植が可能ですが、露地栽培の場合は上記同様ポリ・ポットに鉢上げするのが望ましいです。発芽までは25℃を目標に加温し、発芽後は無加温ハウスで管理します。発芽前は培土が常に湿っている状態を保ち、発芽後の灌水はトレー、ポットなどの表面が乾いたら底から水が染み出すまでしっかり行います。育苗期間が比較的長いため適宜液肥を施用してください。

定植準備

過去にアスパラガスを栽培したことがなく、茎葉の生育期間中、一日を通じて十分な日照量が確保できる圃場を選びます。根が強く、深く入る品種なので耕土が深く肥沃で排水性の高い圃場を選ぶことが大切です。十分な根域を確保するため、作土層が60cm以上となるよう深く耕耘します。特に水田転換畑では必ず明きょ・暗きょの設置、耕盤破砕、高畝などの排水対策を行います。事前に表土ならびに40~50cm程度の下層土の土壌分析を行い施肥量を決定します。しっかり心土破砕、深耘を行った上で堆肥等(未熟なものは避ける)を十分施用します。10aあたり成分量で窒素15~25kg、リン酸10~20kg、カリ10~20kgを目安に施用し、しっかり混和・耕耘してください。pHは5.5~6.5程度に調整します。過剰な堆肥の施用は塩類バランスを崩すことにつながり病害や生理障害の発生を助長することもあるので控えます。水分保持・抑草のために黒もしくはグリーンのマルチフィルムの使用をおすすめします(2年目の萌芽開始時期までに除去する)。

1年目(定植年)の管理

栽植密度は露地春どり栽培(伏せ込み栽培の株養成も含む)では条間120~150cm、株間20~30cm(1条植)。ハウス内長期どり(立茎)栽培では条間140~180cm、株間25~30cmを基本とします。1株あたりの茎数が4~5本になるころに定植を行います。定植苗は生育旺盛で若茎が次々に萌芽しているような株を選び、草丈の短いものや節間が詰まったものは除外してください。植え付け深さ5~10cmを目安とし、定植直後のやわらかい茎葉が傷つかないよう株穴周辺のマルチを土でよく押さえておきます。植え付け後はしっかり灌水を行い、活着を促します。
ハウス内栽培においては必ず灌水設備を設置し、土壌水分が大きく変動しないよう少量多回数灌水を行います。病害の発生・拡大を抑える観点から灌水設備は茎葉に水がかかりにくい点滴灌水チューブなどがよいです。若茎頭部の過度の開き、若茎の変形、湾曲、空洞などの高温障害を回避するため、できる限り肩高、棟高が高いハウスを選び、ハウス内の通風をよく保ち、熱がこもらないような温度管理を心がけます。高温対策としては、ハウスのツマ面を解放する、ハウス・サイド開口部をできるだけ大きくするなどの対策も有効です。
茎葉が完全に黄化し枯れ上がってきた段階で地際部から刈り取り圃場外に持ち出します。病害の拡大を防ぐため畝や通路に残渣が残らないようにきれいに除去してください。

2年目以降の管理(春芽収穫)(ハウス・露地)

定植翌年から収穫が可能ですが、地下部をしっかり養成するため収穫期間は2週間を目安とします。同様の理由により3年目は4週間、4年目は6週間程度で収穫を打ち切るようにします。5年目以降は2カ月以上まで収穫期間を延ばしても構いませんが、前年の株養成中の生育が十分でない場合は早めに打ち切ってください。
追肥は10aあたり成分量(年間合計)窒素15~20kg、リン酸15kg、カリ15kgを目安に萌芽前と春芽収穫終了後に分けて畝上に施用します。露地栽培では通路も深く耕耘しておき、追肥後は培土を行い肥料とよく混和します。培土は倒伏対策としても効果的です。
必ず支柱誘引を行います。高さ1.5m以上の十分に強度のある鉄パイプなどを用い、畝の両側に1.5~3m間隔で設置します。誘引はフラワーネット、ハウスバンドなどを用い、1段目は50~80cm、2段目は1~1.2mの高さに設置します。茎葉がハウスの内側に触れるようであれば適宜摘芯してください。
1年目と同様、茎葉が完全に黄化し枯れ上がってきた段階で地際部から刈り取り圃場外に持ち出します。

長期どり栽培における夏芽収穫(ハウス内立茎栽培)

春芽の収穫は定植2年目で40日程度、3年目以降で50~60日を目安に打ち切ります。立茎は春芽収穫打ち切り前に、12mm程度の若茎が確保でき、収量がピーク時の50%以下となり若茎の品質が低下(頭部が開く、曲がりが増えるなど)する時期に始めます。立茎する茎はLサイズ(茎径12~15mm程度)で生育良好、頭部の締まりがよく、割れや曲がり、帯化などがないものを選びます。立茎方法には短期間に必要な本数を確保し早めに夏芽収穫を開始する「一斉立茎」と1週間に1本の目安で順次立茎し立茎開始から終了まで1カ月程度かける「順次立茎(追加立茎)」がありますが、後者のほうが時間をかけてよい茎を選べるので有利です。夏芽収穫の後半に茎葉の繁茂が不十分な場合には追加立茎を試みます。立茎する茎はそれぞれ10cm程度離れるよう均等に配置し、畝の外側には立茎しないようにします。立茎本数は1株あたり3~4本、畝1mあたり10~12本を目安としますが、適正立茎本数(密度)は栽培環境、栽植様式や株年生などにより異なるため、立茎栽培の詳細な管理方法については各都道府県の農業試験場や最寄りの農業改良普及センター、農業協同組合などで実施している栽培試験結果を参考にするとよいです。
夏芽収穫期の追肥は一般地基準で10aあたり成分量で窒素2~3kg、カリ2~3kgを8~9月の期間、7~10日間隔で施用します。
特に高温期には土壌水分の不足や大きな増減が収量の低下や若茎の品質低下につながるので、少量多回数灌水を行い畝内部の水分状態を良好に保つようにします。
水田転換畑の場合は、水分過多となる場合もあるので過灌水に注意しましょう。

伏せ込み栽培(高冷地・冷涼地)

2月中旬~3月上旬に播種し、6月中旬までに露地圃場に定植し十分な株養成期間を確保することが重要です。1年養成の場合は露地春どり栽培の元肥施用量と同等、1年半株養成の場合は2年目の萌芽開始前に10a当たり成分量で窒素、リン酸、カリをそれぞれ10kg追肥します。
降雪前に、できるだけ貯蔵根を切断することなく根株を堀り取り、堀り取った根株は乾燥させないようブルーシートなどで包み、直射日光の当たらない野外に3週間程度放置し十分低温に遭遇させます。
ハウス内に設置した温床(伏せ込み床)(電熱線など加温装置を内部に設置)に根株を伏せ込み(覆土5cm以上)、十分に灌水を行います。数日間なじませた後、加温を開始するのが望ましいです。地温は15~20℃で管理し、若茎の凍害防止のため夜間はトンネル被覆等を行い最低気温は5℃以上を確保してください。加温後2~3週間で萌芽を開始し、1年半株養成した場合2カ月前後の収穫が可能となります。

作型図